深呼吸する言葉 : 夏の朝
夏の朝、少し早く起きた時の
まだ熱せられる前の空気には、
子供の頃の記憶を思い出させる
引力を感じる。
匂いのような、温度のような、
不思議な感覚。
懐かしい感覚。
優しい感覚。
深呼吸する言葉 : 資本主義
悪意に満ちた資本主義が広がりはじめている気がする。
深呼吸する言葉 : 本当の孤独
一人でいる孤独は、二人でいる孤独よりも
はるかにましだ。
深呼吸する言葉 : 理由なんていらない
夏の準備にかかる浜辺をみながら、ふと考える。
なんで、海を見ながら飲むビールは旨いんだ?
深呼吸する言葉 : 本意
言葉は、発した瞬間からは相手のものだ。
そんなつもりじゃない、はエゴにすぎない。
深呼吸する言葉 : メールだけのつながり
旅に出て、そこで朽ち果てたとしたら、
どれだけのひとがそのことに気付いてくれるのだろう。
メールアドレスは、所有者が朽ち果てても、
ただ受信を続ける。
深呼吸する言葉 : タイムスリップ
郊外行きの電車に乗る。
立っているひとは、そう多くない時間の列車。
ふと違和感を感じ、見渡す。
本や雑誌を読んでいる人が、全部で一人、二人、全部で9人も。
そして、頭を下げて携帯の画面を見続けてる人が誰もいない。
そんな光景が、タイムスリップのように感じる。